リオンは物心つく前から男の喜ばせ方を家族から教わった。それが生きて行くための方法だからだ。
 この貧民街で本当の家族と呼べる集団は少ない。殆どが自分の食い扶持だけで精一杯で、生まれた子供は育てられずに捨てられる。そしてほんの少しだけ余裕のある集団がそれを受け入れ、また働き手として育てるのだった。
 リオンもそれに外れず、捨てられて拾われた孤児だ。親の顔も名前も知らずに今の『母親』に育てられた。
 彼女は既に四十を超えていたが路地に立ちリオン達若者と同じように安い金で春を売る。家族は寄り添って生きているのだから『母親』が稼がずとも生きてはいける。支えられて生きるのは彼女のプライドが許さないのだろう。
「アンナはそこでよく見ておきなよ。客になりそうだったら相手してみ。尺まではやっていいけど、それ以上はダメだ」
「分かってるって。もう半年もやってるんだからそれくらい知ってる」
 アンナは今年十二歳になる。リオン達家族のルールとして股を開くのは十二歳になってからと決めていた。十二歳でも体はまだまだ子供で、一年は家族の誰かがつくようにしている。
 幼すぎる体に大人の男は負担が大きすぎ、最悪の場合死に至る。
 この界隈では十二歳以下の子供が生きるために体を売ることは少なくない。だがそれをさせないのは家族が長く生きるためだ。せっかく育てている稼ぎ頭を潰しては元も子もない。
「家族も増えたし、オレ的には見習い期間をもう少し遅くしても良いと思うんだけどな」
「何にもしないで居るより全然良い」
「家事はしてるだろ? 何にもしていないわけじゃない」
 十九歳のリオンからみても、アンナは子供だ。こんな少女を買おうとするヤツは総じてくずだと思うが、そのくずが居なければ貧民街では生きられないのもまた事実だ。
 夕暮れ時から提灯を持って路地に立つ。提灯はウリの目印で、それを持って声がかかるのを待った。
 誰かが近くを通れば声をかけ、顔なじみが反対の通りにいれば手を振る。集団ごとに商売をする場所が決まっていた。大通りに近い道となれば古参の集団しかいない。新参者は奥の暗く狭い路地でしかウリはできない。
 リオンたちは母親のおかげでそこそこ良い立地で商売ができた。少し広い道で客を誘い込み、すぐ側の狭い路地で春を売る。
日に十人弱は何かしらの形で客を取れた。だが一発三〇〇〇ルピ、と街の娼婦の十分の一しか稼ぎがもらえない。ここら一帯の平均相場で、値上げようものなら他に行かれてしまう。だから回数をこなすしかない。
「お、ジャンさんだ」
 リオンは常連客を見つけると手を振って呼び止める。リオンに気づくとジャンがこちらへやってきた。
「あの人は優しいから、最後に尺でもやらせてもらおうか」
「分かった……」
 リオンはアンナに耳打ちし、小走りできたジャンを笑顔で迎えた。
「こんにちは、ジャンさん。今日の私の処女もらっていかない?」
「なんだ今から商売か? そりゃ良いときにここを通った」
「そうそう。日が落ちてきてからが私たちの時間だからね。どう?」
 好感触にリオンはジャンの腕に手を絡め、肩にしなだれる。すると腰に手を回されて尻を撫でられた。
「せっかくの申し出だ。もらっとかなきゃ損だろう」
「ふふっ、嬉しい。ありがと。もう濡れ濡れだったから早くほしかったの」
 すぐに挿れられるようにと準備はしているのだから、濡れているのは当たり前だが、淫蕩なメスを演出するに超したことはない。すぐ側の路地まで伴って歩き、やりやすいようにと着ていたワンピースをたくし上げる。
 リオンは壁に手をついて、片方の手でジャンがいそいそと出した一物を扱いた。
 四十をとうに過ぎたらしい体はまだまだ現役で、そこかしこで顔を出していると噂に聞く。
「ジャンさんほんと元気。すぐカッチカチにするんだから」
「男はいくつになってもヤりたい盛りなんだ。仕方がないだろう?」
「元気ついでによかったらお掃除、うちの見習いにさせてくれない?」
「ああ、さっき居た小さい子?」
 リオンの側に居たのだ、アンナの存在に気づかないわけがない。まれに伴ってウリをしている娼婦もいるので、珍しいが、驚くほどのものではない。
「そう。今見習いで半年後にちゃんとデビューするからよろしくね。お勉強中だから、よかったら大人の男を教えてあげて?」
「それはリオン次第だな。うんと気持ちよくしてくれたら考えよう」
「もー、それはイエスって言ってるようなもんでしょ?」
 リオンはジャンに口づけながら、スキンを一物に手早くつけた。身を守るためにスキンなしのセックスはありえない。病気はもちろん、妊娠なんてしたら可哀想な子供が増えるだけだ。負の連鎖は誰かが断ち切らなければならない。
「確かに、リオンの中はきつくて最高だ、なっ」
 ジャンは完全に勃ち切ったそれを一気にリオンの中へと差し込んだ。圧迫感がリオンをさいなめる。少し馴染んできたと感じる頃には激しい抽送が始まった。
 これでも優しい方だとリオンは思う。セックスは自分勝手だが、フェラチオは無理矢理頭を捕まれ嘔吐くようなことは一度もない。どちらかといえばこちらのペースでやらせてくれる。だからアンナでも大丈夫だと思った。
 むしろ拙さを興奮に変えてくれるような人だ。アンナの自信にも繋がる。
「あっ、あっ……んんっ」
「おー、お前の男も気持ちよさそうに勃ってるじゃないか。中から突いてかわいがってやるからな」
 リオンには膣だけでなく陰茎もあった。珍しさもあって、この界隈では有名だ。さらにどちらも機能しており、一層希少価値がついている。
 リオンの中が他よりも狭いのも一物が平均より少し小さいのも両性だからだ。たいした病院にも行ったことがないが、問題なく生きていけているので気にしていない。というよりも、気にできるほどの知識がリオンはもとより家族にはなかった。
「うんっうんっ、かわいっ、がってぇ……! なか、きもちぃっ」
 女の側から男の気持ちい部分を押されて腰が飛び跳ねる。ジャンでは最奥までは届かないが、どんなに下手でも擦られれば快感を得られた。多少のリップサービスはあるが、感じないほどではない。
「俺も搾り取られそうだっ」
 パンパンと肌が当たる音の間隔がどんどん短くなり、ジャンが達しそうなのだと分かった。リオンは狭い中を力を入れて一層狭くする。
 食いちぎらんばかりに締め付ければすぐにジャンが吐精した。びくびくと断続的に出されているのが分かる。その感覚にリオンも軽くイってしまい中が痙攣してしまう。まるで抜かれまいとしているようで、落ち着くまで動けない。
「相変わらず良い体してるな」
「んっ、ありがと。ジャンさんもおいしかったよ」
 リオンは振り向きジャンにキスをする。そしてゆっくりと中の物を抜いた。
「ぁんっ」
 抜く瞬間に感じてしまい声が出る。じんじんと余韻の残る体に鞭を打ち、手早く愛液塗れのスキンを外し、縛ったそれをゴミ袋に放り込んだ。


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基本ヤってるだけです!