寒い冬が終わり、ぽかぽかと暖かな季節が巡ってきた。
 アキトは以前から決めていたピクニック用の衣装に着替えていた。まだ肌寒いため、シャツの上に厚手で丈の短いジャケットを羽織る。下は動き易さを重視しつつも寒さ対策にロングブーツを選んだ。
 暖かい、といっても向かう先は城の裏手にある大きな湖だ。普段の生活区域よりも寒い。
 準備が整うと丁度よいタイミングでノック音がした。入室の許可をすると侍従が顔を出した。
「アキト様、ご準備はできましたか?」
「はい。着替え終わってますから、もう行けますよ。マグナスはもう行けそうですか?」
「陛下は先程玄関に向かったと報告を受けています。アキト様もよろしければ下へ向かいましょう」
 アキトは侍従に従い玄関へと向かう。マグナスとの外出は滅多にできないので、気持ちが高揚しているのが自覚できた。
 日本に居た時も引き籠もり体質で、家にいることが苦ではなかった。その為、こちらに来てからも一人で出掛けたことは数えるほどしかない。やることがあったというのもあるが、護衛は居るが、一人で行くのは心細かったのだ。
 今回は敷地内とはいっても徒歩で片道一時間弱と距離がある。この時間から行けば湖畔に着いて少ししたら昼食なので、ピクニックには適した場所だ。
 アキトが玄関に着くとマグナスが馬を連れているのが見えた。どうやら馬に乗っていくらしい。
「おはよう、マグナス。今日はそれで行くの?」
「ああ、おはようアキト。そのつもりだ。長く歩くのはアキトには厳しかろう?」
 城内の限られた範囲しか歩かないアキトに、いきなり数キロ歩けというのは確かに難しい注文だった。浮かれた頭では考えに至らなかったため、アキトはマグナスに感謝した。
「確かにキツイね……。ありがとう、マグナス。でも、俺、まだ乗馬下手だから、馬車じゃないとそれはそれで難しいかも……」
「それについては問題ない。私と一緒に乗ればよかろう。私の愛馬は二人乗せたところでへこたれるような馬ではないからな」
「なんだ! じゃあ安心だね」
 アキトとマグナスは侍従から昼食の入った荷物を馬に括り付けると、アキトを前に乗せる形で乗馬し目的地を目指して出発した。城内でマグナスという近衛同等の強さをもった彼がいれば大概の敵はかなわない。そもそも城内であることから、特別に二人きりという状況が許された。
「久しぶりの遠出、すごく嬉しい。ありがとね、マグナス」
「いや、私もアキトと外に出たかったからな。こうした機会をあまり作れず、すまない。最近は仕事も忙しくあまり顔も見れなかったからな、寂しい思いをさせただろう……?」
「寂しかった! けど、マグナスが大変なの知ってるから、我慢できるよ。それができないほど子供でもないしね」
 アキトの腹に回されたマグナスの右手に力がはいる。申し訳なく思わせてしまったなとアキトは反省した。
「すまない、アキト……んっ」
「え?」
 熱っぽい声がアキトの耳に届く。そして、ぐっと尻に硬い物が押し付けられる。
「な、なんで勃ってるの? 今そんな要素あった?」
「アキトと外に出られると思って、つい、な。湖に着いたら直ぐにできるようにと張り形を後ろに入れてきたのだ」
「……えっちすぎるよ、マグナス……。そんなに期待してたんだ? 一昨日したから、てっきり普通にピクニックだと思ってたよ」
 あまりのことに驚いたが、男として期待されるのは嬉しくないはずがなかった。ただ、するにしても道具が必要になる。香油はもちろん、終わった後に体を拭くタオルさえ持ってきていない。
「俺、何も持ってきてないけど大丈夫?」
「あっ、……ああ、準備させたから問題ない」
 つまりマグナスの侍従には何をしに行くか知られているということだ。少々恥ずかしく思ったが、アキトもマグナスと暮らすようになってからプライバシーをなくしたため、止めてくれとは言わない。
 一昨日もその前も、今までの情事については侍従にはバレているのだ。しない日すらする前提で寝室は準備がされている。いざという時にないと困るからだ。
「ならよかった。あんまり寒くないといいね」
「アキトとまぐあえばすぐに熱くなるさ」
 確かにそうだとアキトは笑った。
 いくら大人しい馬だといっても、馬が歩くごとにその振動が伝わってくる。それはアキトだけでなくマグナスも感じているはずだ。何かあったときは腹を括らねばとアキトは気を引き締める。
「見えてきたぞ」
「ああ、本当だ。キラキラしてる」
 生き存えたとアキトはほっとした。
馬から降りると馬を木に括り付け、荷物は別の木の下に広げた。敷物の上には昼食と飲み物とクッキー、そしてマグナスが持ち込んだ香油にタオル。替えの下着まであったのは本当に準備がいいなとアキトは感心した。
「アキト……」
「マグナス、脱いだらどうなってるの……?」
 マグナスの視線と声音でアキトの気持ちが切り替わる。発情した彼を放っておけるほど冷静ではない。
 アキトと同じようにロングブーツを履いており、それを脱がなければズボンも下着も脱げない。アキトはマグナスを手伝いながら自身もブーツを脱いだ。
 マグナスが下着を脱ぐと、中に敷かれたタオルがぐっしょりと濡れていた。
「うわぁ、こんなになりながら乗馬してたの?」
「朝から、アキトに触れたくて堪らなかったんだ」
「嬉しい」
 アキトはマグナスの女の部分に手を伸ばし、優しく中を確かめた。愛液の助けもあり、すんなりと迎え入れられる。温かなそこは、きゅうきゅうとアキトの指を食み、奥へと誘う。
「あー、うん。これなら、大丈夫そうだね。でも、ゆっくり入れるから痛かったらちゃんと言ってね?」
 頷くマグナスをしかりと見やり、アキトは自身を取り出した。彼の痴態を見たせいで、緩く勃起している。何度か扱いて硬さをもたせた。そしてゆっくりと切っ先を入口に沿わせる。
「ああ、アキト、早く……」
 マグナスに抱き付かれ、一気に奥まで入ってしまう。
「んんっ」
「ダメだよ、マグナス! ……大丈夫だった?」
「問題ない。痛くはないが、痛くとも構わぬ」
「それは俺がヤだからちゃんと言ってよね……」
「善処する。それより動いてくれ」
 分かっていないと感じつつも、マグナスの言うとおりに腰を動かす。いつもより狭いと気付いた時にアキトは思い出した。
「あっ、あっ! いい、いいぞ、アキト、ああっ」
「マグナス!? 君、後ろに入れたままでしょっ? 抜かないと! ぐぅっ」
 物理的に狭められた内部に加え強力な膣圧によって、アキトのそれは微動だにできなくなる。
「アキト、何度も君を受け入れてきているんだ。両筒に入っていても、大丈夫だ。いつもよりキツくてアキトも気持ちがいいだろう?」
「う……ん、気持ちいけどさ……。二輪刺しは怖いよ……。傷付いたりしない?」
「大丈夫だ。アキトは私を傷付けないし、張り形は滑らかに作ってある。だから私は傷付かない」
 アキトはマグナスによしよしと頭を撫でられた。まるでどちらが受け入れているのか分からなくなる。
「分かった。動くよ……?」
「うん、いい子だ」
 ゆっくりと抽送を再開する。裏側に張り形を感じて、いつもとは違う快感がアキトを襲う。
「んぅっ、マグナスぅ」
「アキトっ、アキトっ!」
 秘肉を穿ち、マグナスの長大な象徴を扱くと、白濁の噴射と共に中がひどく痙攣した。するとアキともつられて気をやってしまう。
 お互いに唇を求め合い、深く繋がった。息が整う頃にはマグナスがまた自身を硬くさせていた。
「アキト……」
「せっかく準備してくれてたし、後ろにもいれてあげるから、そんな物欲しそうな顔しないで」
 マグナスの愛液で濡れた自身を抜き取る。彼の尻が咥えているアキトよりも二回りほど細い張り形をゆっくりと引っ張った。
「んっ」
 取り出した後にはぽっかりと口を開けて、アキトを淫らに誘う。縁を撫でれば離すまいと窄まった。
「もうトロトロだね。本当に、よくこんなの入れながら来ようと思ったよね。馬の振動でイッちゃわなかった? マグナス、中イキも空イキも上手だし」
「イキ、かけた……」
「ふふっ、かわいい。えっちなマグナス本当にかわいい」
 アキトは柔らかくなったそこに自身を少しずつ差し込んだ。マグナスの好きな所を重点的に突いてやり、快楽に歪む彼の美しい顔をにこりと眺めた。
「あっ、ああっ、アキトっ、すきっ……んんっ」
「俺もっ、マグナスのこと、だいっすきっ、ぅんっ」
 お互い二度目だというのに一度目よりも早く果ててしまう。そして、湖はそっちのけで何度もまぐあうのだった。
 マグナスが疲れ切ったアキトに張り形を入れ、城に戻るまでは良かったが、風呂で彼を受け入れた時にはアキトの意識はすでになかった。


end

***
J庭49のペーパーでした。
意外とそんなに変じゃなかったかも! と誤字なおすくらいにとどまりました。
なんでもないんだが? みたいな顔でえっちしたがるマグナスかわいいです。


10/18/20(01/07/22)