大学も二年目に入り、二十歳という区切りも迎えた。にも関わらず、生まれてこの方彼女などできたことはない。その気もないが、彼氏もいない。普通の男は嫌だが、男の娘はかわいいので許す。相手にされないが、こちらはウエルカムだ。
 そう思っていた矢先、チャンスが舞い降りてきた。非科学的現象に妄想かと疑ったが、これは現実だ。天使が俺の部屋に、俺のベッドに、文字通り羽を広げ降り立った。
「初めまして、ボクはクライツ。神のご意思によりアナタの願いを叶えに来ました。一つだけ、アナタの望みを聞き入れましょう」
 よく見れば、天使とも悪魔とも言い難い姿をしていた。翼や髪は真っ白なのに、肌は焦げ、目は血みたいに赤い。返事次第では魂を取られるんじゃないかという恐怖が湧き上がる。
「お前は……どっちなんだ? 俺の命を奪いに来たのか……?」
 姿はあべこべだが整った顔付きの少年が少し傷ついた様な表情を見せた。
「半分は悪魔の血が入っていますが、私の主は誇り高き天界の神アレクシス様です。人の魂は生まれた時に帰る時期が決まっています。それを導くことはあれど、故意に奪うことはしません」
「じゃあなんで俺のとこに?」
「先程申したように、アナタの願いを叶えに来ました。アナタは数多の人間の中から選ばれたのです。地上界に大きな変革をもたらす程の願いは聞き入れられませんが、宝くじ程度であれば当てて見せましょう」
 少年の翼が閉じられると霧散してどこかえ消えた。登場から言動からすべて不思議な現象の連続で、簡単な願いならば本当に叶えてくれるのではないかと非現実的なことを思い始める。そもそも現在進行形で色々とおかしいんだが。
 俺は少年にベッドの淵に座るように言い、その隣に腰を下ろした。
 深呼吸して、一度自分の頬を抓る。痛みを感じるということは夢では無さそうだ。
「本当に何でもいいのか?」
「はい。ボクが叶えられる範囲であれば」
 一生に一度あるかないかのチャンスだ。宝くじで一儲けして女の子を侍らせるか? ――いや、俺の性格上金遣いが荒くなって破産する未来が見える……。であれば、一度きりの何か特別なものの方がいい。
 悩む。非常に難しい問題だ。いや、しかし他にあるとすればアレくらいだ。いくらかわいいとはいえ、見るからに男だし……。でもこれだけかわいければ……。
「……そしたら君とえっちしたい」
「えっちとは?」
 なんだこの純粋培養は! まぁでも自称天使なわけだし、そういうのは遠い存在だよね! 俺がこんなかわいい子の処女を……興奮してきたいけるこれなら。
「つまりその、……セックスのことなんだけど……」
「セックス……少々お待ちください。聞いてみます」
 少年は目を閉じてボソボソと会話の様なものをしている。流石に無理な願いだったかと落胆したが、その答えは意外なものだった。
「はい、承知しました。皆藤義樹様――アナタの願いは受け入れられました。これより実行に移りたいと思います。よろしいですか?」
「うぇっ? いいの? ありなの?」
「主様に確認いたしましたし、問題ありません。どちらが良いですか?」
 同士達よ……俺はお前達を置いて一歩先に行く……俺は男になるんだ!
 勢いよく少年を押し倒し、キスを迫った。柔らかい唇に、感動する。他人の唇ってこんなに柔らかいのか!
「ボクは女性側をすれば良いのですか?」
「うん、そうして! 俺の童貞貰って!」
「分かりました。トランスフォームはボクの力ではできないので、男の身体ですがお相手させていただきます。なにか粘度の高い液体はありますか?」
 出された指示のもと、俺はオナホ用のローションを取り出し少年に渡した。少年が起き上がると、 真っ白なワンピースの両側の広いスリットから、つるつるの足が見え隠れする。……パンツはいてるか怪しいな。
「ありがとうございます。それでは手を出してください」
 両手を出すと、手の平にたっぷりとローションが落とされる。常温のはずなのに冷たく、手だったから良いが、身体に垂らされたらもっと低く感じられただろう。
「少し温めておいてください」
 ビックリしたことに、少年は下に何も穿いていなかった。彼がワンピースを脱いだことで、それが判明した。
 健康的な筋肉と少年らしいまろみが性別を危うくさせる。大人になりきれていないその身体に目を奪われた。
 少年がベッドに横たわり、足を大きく開いた。間にぶら下がったそれは小ぶりながらも、俺と同じものが付いている。嫌悪感どころかしゃぶりたいとさえ思う、甘美な誘惑に襲われた。
「ボクのお尻にそれを塗ってください。あまり痛いのは好きではないので、一本ずつ入れてくださいね」
「一本? 何をどこに入れるって?」
「指ですよ。女性でもそうかと思いますが、初めからすんなり性器は入りません。アナタの指をボクのアナルに差し入れて広げてください」
 ……もしかしてすごい慣れてる? こんなにリードしてくれるってことは処女じゃない……? こんなに純情そうな子がまさかそんなことは……。
「ひょっとしてこういうの慣れてる?」
「そうですね。日常的に嗜んでいます。ただ、このような願いは初めてですので、なかなかに緊張しています」
 天界どんだけ爛れてるんだよ! 俺はもうこの少年に身を任せればいいのか……? 経験値ゼロの俺よりは確実に慣れてるし……。自分よりも遥かに年下に手取り足取り腰使いまで教わるのか。そう考えると逆に興奮するな。
「もう全部お任せします……俺に色々教えてください……」
「分かりました。指南役は初めてですが、頑張らせていただきます」
 ほんのりと温まったローションを少年の尻に塗りたくり、怖々と人差し指を突き刺した。他人のケツの穴なんかまじまじと見る機会なんかない訳で。いとも簡単に咥え込まれた胎内は、温かくて柔らかくて奥へ奥へと吸い込まれるようだった。
「ん……入口さえ拡がってしまえば後は楽ですので……」
 言われるままぐにぐにと掻き混ぜたり出し入れしたりと拡げていく。二本目もすんなり入って、噂に聞く前立腺を探した。思ったよりも奥じゃなかったような……? 探すような手つきで上の壁を押した。
「あ、ああっ、そこ、だめっ、です……」
「あ、ここだった?」
 しこりのような場所を撫でるように押すと、ぴくぴく少年の小さなちんこが震え出す。なんでかそれを可愛いと思ってしまい、空いていた手でいつも自分がするように扱いた。
「はあぁっ」
 吐息と嬌声がどんどん大きくなり、耐えるように少年が歯を食いしばった。なかなかイこうとしない少年に、こっちも意地になってくる。是が非でも一回は手でイカせてやる。
「ああんっ、も、いれてくださいっ」
「いやいや、そういってもまだ俺が準備できてないし」
「はぁはぁ、そうでも、ないみたいですよ……ほら」
 少年が手を伸ばし俺の股間に触れた。そこでようやく、苦しいくらいにズボンを押し上げてることに気が付いた。こんな、少年の、男の身体に俺は……男の娘モノに興奮しているのと同じなのか? リアル少年に勃つとは思わなかったけど。
「うーんでも、先に君をイカせたいしな……」
「ボクのことは構いませんので、どうぞ一思いに突いてください。そちらの方がボクも……その、気持ちいので……」
 なんなんだこのギャップは。今までいやらしく喘いで、教えてくれてたのに! 感じるのは恥ずかしいことなのか!?
「わかった……そこまでいうなら仕方がない。俺の童貞貰ってくれ!」
 本当に一思いに突こうとしたらローションつけろと止められた。ワンクッションおいて、ようやく俺が大人になる瞬間が来る。今まで同士だと思ってた友人たちよ、俺は先に行く。お前たちが見たことない向こう側、体験してくるよ。
「じゃあ、失礼して……」
 寛げたズボンから、誇らしげに勃起した戦友をぬぷぬぷのどろどろになった少年の尻に押し当てた。抵抗されるも、ぐいと進めばおいしそうに飲み込んでいく。
「あーやべぇ……」
 入口こそキツイものの、中はふわふわででも締め付け感があって、もう控えめに言って、――天国だった。そんなつもりはないのに腰が勝手に動いて、ローションがかき混ざるぐぷごぷっていうえっろい音がして犯してるのに耳は犯されているような変な感じがした。いや、それが変だと認識できるほど、俺は正常じゃなかった。
 ひたすらに目の前の快楽を求め、さっきの少年をイカせるぞなんていう余裕はなく、腰を振るだけの畜生に成り下がった。
「はっはっ、うっ!」
「あっ、ふ、ああっ……んっ」
 あと何擦りかしたらイケるところまできて、個人的には大盛り上がりだったのに、少年がうわごとを言い始めてた。はじめは自分のことで手えいっぱいで気付かなかったけど、押し上げられる感覚に、さすがに違和感を持った。
「ああ! まって、まってくださ、ぃぁっ……むりですっ、そんな、ぃやぁっ」
「えっ?」
 何かが、少年の尻にフィットしているはずの俺のちんこを擦りあげて、奥へと向かっていく。圧倒的な大きさで、少年の中でいっそう締め付けられる。オナホなんか目じゃないくらいのキツさで、ちんこが痛いくらいだ。
 これだけ苦しいなら少年はもっと苦しいはずだと、顔を見てみれば、パクパクと魚みたいに口を動かし衝撃をどうにか解放させようとしてるみたいだった。
「大丈夫?」
 さすがに不安になって、イクとかイカないとかの問題じゃなくなる。そもそもなんでこうなったんだか。
「うご、かないで、ください……はぁっ、アレクシス様、ボクの主様が、イタズラを………ああんっ、あるじ様ぁッ」
「全然状況が見えないんだけど、この圧迫感が君の主様ってこと? つまり神様?」
「そう、ですっ、……ふあっ、動かないでっ」
 え、三P? まさかの? まさかの神と天使と俺とでセックスしてんの!? もしかして神と天使と三Pした男として後世に語り継がれちゃう!?
「だめ、ですぅっ……あっ、こんなのッ……ごめんなさいむりですごめんなさいっ!」
 少年が苦しそうに涙を浮かべたかと思うと、一瞬、強烈な光線が部屋を照らした。眩しさに目を閉じれば、何もなかったかのように、俺は一人、間抜けに部屋で勃起してる男になった。
「ええ……俺中途半端……なんだったんだよ……」

 こうして俺は、非童貞と胸を張ってよいのか悩みながらも、日常に戻った。あれが夢だったのか現実だったのかは分からないが、そのあとすぐに、めでたく初彼女ができた。少年に教わった丁寧さを心掛け、初夜を迎えれば、そのまま数年後、彼女との間にかわいいかわいいそれこそ目に入れてもいたくないほどかわいい女の子が生まれた。


end

***
褐色ショタが書きたかった


01/23/16